マルットメディア

建設業

建設業許可等電子申請システム(JCIP)の中身を徹底解剖!

建設業許可等電子申請システムの中身を徹底解剖!

令和5年1月(2023年1月)から建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)の受付が開始されます。どのような内容のものなのか、現時点でわかっていることをわかりやすく徹底解剖してみます!

(以降「建設業許可等電子申請システム」と適宜略します。)

建設業許可等電子申請システムの追加情報(2022/12/29更新)

【2022/12/29】国土交通省HPで「システム操作マニュアル」公開

国土交通省HPで「システム操作マニュアル」が公開されました。また、公開の日時は2023年1月10日9時~リリース予定とのことです。

建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)

【2022/12/2】民間システムからのアップロードテストを受付中。12月23日(金)まで

民間システムからのアップロードテストを受付中です。12月23日(金)までとのことです。

建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)

【2022/11/29】12月に国土交通省HPで「申請者マニュアル」を公開

12月に国土交通省HPで「申請者マニュアル」を公開とのことです。

【2022/11/24】システム運用開始日は2023年1月10日(火)より

システム運用開始日が掲載されました。2023年1月10日(火)よりシステム運用を開始し、建設業許可や経営事項審査の電子申請受付開始を予定している、とのことです。

また、システム説明動画も追加されていました。概要がよくわかる内容になっています。

建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)

【2022/10/18】11月からの事前の申請受付は実施しない予定

以下のニュースなどに掲載されていた、11月からの事前の申請受付ですが、10/17確認時点で「現時点で実施予定はございません」とのことです。

建設業許可・経営事項審査電子申請システムとは?

国土交通省のHPによると

建設業の働き方改革推進の一環として、事務負担を軽減し、生産性向上を図るとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大等を踏まえ、非対面での申請手続を行うことができる環境を整備するため、令和5年1月より建設業許可や経営事項審査の電子申請受付開始を予定しています。
建設産業・不動産業:建設業許可・経営事項審査電子申請システム – 国土交通省

とのことです。つまり簡単にいうと建設業の申請がネットでできるようになりますよ、ということですかね。現状では申請時に大量の申請書類を行政庁に持っていく場合もあるとのことなので、それが無くなるのは良いことですね。

受付開始時期は地域ごとに異なる?

受付開始時期は地域ごとに異なるようです。(令和4年9月現在)

  • 大臣許可は令和5年1月一斉開始
  • 都道府県知事許可は令和5年1月より順次開始予定
  • 東京都は、令和5年度中での受付開始を予定
  • 大阪府、京都府、兵庫県、福岡県は、受付開始時期未定

東京都が遅れ、さらに大阪府や福岡県など大都市が未定になっています。東京都が遅れ、地方が先行するのは許可業者数の多さでしょうかね。一応見てみます。

全国許可業者数
都道府県業者数
東京都43,428
大阪府39,525
兵庫県19,437
京都府11,378
福岡県21,137

建設業許可業者数調査の結果について-建設業許可業者の現況(令和 3年3 月末現在)-国土交通省 不動産・建設経済局 建設業課より

東京都が最も業者数が多いのはわかりましたが、京都府はなぜなんですかね。愛知県が26,854業者なので何か別の基準がありそうですが、掘り下げてもしょうがないので一旦ここまでにしておきます。

まずは、電子申請システムの受付が始まる際には問い合わせ等の対応も大変になるので様子を見ながら、ということでしょうかね。

宅建業電子申請システムに失敗した過去

実は建設業と同じく許認可が必要な宅建業において、過去に電子申請システムが稼働していた時期がありました。平成19年9月~平成24年3月末まで。

宅建業電子申請システムの休止について 一般財団法人不動産適正取引推進機構

利用率が極めて低調で費用対効果が悪かったことと、都道府県で運用経費を共同で負担していたため財政事情が厳しかったことが原因らしいです。

今回の建設業許可等電子申請システムですが、「システム開発の初期費用は国が負担するものの、運営管理費用は国と都道府県により分担する見通し」(【建設業許可・経審】 電子申請システムは11月から説明会開催へ|建設資料館)とありますが、上手くいってほしいものです。

宅建業電子申請システムは、令和6年度(2024年度)以降にオンライン申請等を順次可能に

ちなみに、宅建業電子申請システムは令和6年度(2024年度)以降オンラインによる申請等を順次可能にするようですので、こちらも良い流れですね。

オンライン化を実施する行政手続の一覧等 – デジタル庁 P88

建設業許可等電子申請システムでできること

◆ネット上から建設業許可と経営事項審査の申請ができる

ネット上から建設業許可と経営事項審査の申請ができるようになります。

◆大量の書類を持っていかなくていい

行政庁に大量の書類を持参している現状の問題を解消できそうです。「申請者側からは、確認書類の種類毎に一括アップロードさせるような仕組みを想定している」とのことです。

また、大量の紙をスキャンしてたらたまったものじゃないという話もありますが、「申請者側で郵送するかアップロードするか選択可能とすることを想定している」とのことです。

第2回建設業許可・経営事項審査等の申請手続の電子化に向けた実務者会議(2021/3/3)配布資料 資料3:アンケート調査結果 P3、P4

◆必要書類の収集や無駄な情報入力が無くなる

すでに各省庁や機関に登録されている情報を自動入力されるようにするとのことです。(バックヤード連携)

以下令和4年7月時点の想定

他省庁
連携情報連携先連携対象連携時期備考
登記事項証明書法務省大臣・法人R5.1~知事許可の連携は現在調整中
納税情報法人税/所得税国税庁大臣・法人/個人R5.1~個人の連携時期は現在調整中
消費税/地方消費税国税庁大臣/知事・法人/個人R5.1~個人の連携時期は現在調整中
事業税都道府県知事・法人/個人調整中
その他機関
連携情報連携先連携対象連携時期備考
技術検定合格証明書国土交通省全てR5.1~
経営状況分析結果通知書登録経営状況分析機関全てR5.1~
監理技術者資格者証(一財)建設業技術者センター全てR5年度
監理技術者講習修了証国土交通省全てR5年度
建設業経理士登録証(一財)建設業振興基金全てR5年度
登録建設業経理士講習終了証(一財)建設業振興基金全てR5年度

バックヤード連携の各メリット

注目ポイントは以下です。時間やコストが削減されます。

  • 健康保険・厚生年金保険「領収証書又は納入証明書」の写し

    年金事務所での請求又は郵送請求(標準処理時間3日)手続きが不要

  • 登記事項証明書(商業登記)

    法務局での請求又はオンライン請求手続き、手数料(480~600円)が不要

  • 法人税・所得税納税証明書

    税務署での請求又はオンライン請求手続き、手数料(370~400円)が不要

  • 法人事業税・個人事業税納税証明書

    都道府県税事務所での請求手続き、手数料(400 円)が不要

  • 身分証明書
    本籍地のある市区町村での請求、郵送手続き、手数料(300円程度)が不要
  • 登記事項証明書(不動産登記)

    法務局での請求又はオンライン請求手続き、手数料(480~600円)が不要

バックヤード連携の全情報

以下すべて掲載します。

対象資料メリット連携先
健康保険・厚生年金保険:申請時の直前の保険料の納入に係る「領収証書又は納入証明書」の写し
  • 年金事務所での請求又は郵送請求(標準処理時間3日)手続きが不要となる。
  • 紙書類の複写・送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
  • 真正性が担保される。
厚生労働省(日本年金機構)
雇用保険:申請時の直前の「労働保険概算・確定保険料申告書」の控え・保険料の「領収済通知書」の写し
  • 紙書類の複写・送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
  • 真正性が担保される。
厚生労働省
登記事項証明書(商業登記)
  • 法務局での請求又はオンライン請求手続き、手数料(480~600円)が不要となる。
  • 紙書類の送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
法務省
法人税・所得税納税証明書
  • 税務署での請求又はオンライン請求手続き、手数料(370~400円)が不要となる。
  • 紙書類の送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
国税庁
法人事業税・個人事業税納税証明書
  • 都道府県税事務所での請求手続き、手数料(400 円)が不要となる。
  • 紙書類の送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
都道府県
健康保険被保険者証カードの写し
  • 保険者証の複写・送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
  • 真正性が担保される。
厚生労働省(日本年金機構)
  • 法人番号指定通知書
  • 法人番号公表サイト画面(写し)
  • 法人基本3情報の入力を補助できる。
  • 法人番号の確認が不要となる。
経済産業省
登記されていないことの証明書
  • 紙書類の複写・送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
法務省
身分証明書
  • 本籍地のある市区町村での請求、郵送手続き、手数料(300円程度)が不要となる。
  • 紙書類の送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
総務省/市区町村
工事請負契約書、注文書、請書、請求書 等紙書類の複写・送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
  • (一財)日本建設情報総合センター
  • (一財)建設業振興基金
  • 監理技術者資格者証(写し)
  • 登録基幹技能者講習修了証(写し)
  • その他合格証・免許証(写し)等
  • 資格者証等の複写、送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
  • 真正性が担保される。
  • (一財)建設業技術者センター
  • 登録基幹技能者講習実施機関
  • (一財)建設業振興基金
  • その他試験実施機関 等
  • 建設業退職金共済事業加入履行証明書
  • 中小企業退職金共済制度加入証明書
  • 法定外労働災害補償制度加入証明書
  • 請求手続きが不要となる。
  • 紙書類の複写・送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
  • 紙書類の送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
  • (独)勤労者退職金共済機構
  • (公財)建設業福祉共済団等
登記事項証明書(不動産登記)
  • 法務局での請求又はオンライン請求手続き、手数料(480~600円)が不要となる。
  • 紙書類の送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
法務省
経営状況分析結果通知書
  • 審査側の入力作業コスト、ミスを削減できる。
  • 紙書類の送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
登録経営状況分析機関
自動車検査証(写し)
  • 紙書類の送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
運輸局
ISO9001、14001認証登録証明書、付属書(写し)
  • 証明書等の複写、送付、電子ファイル化・アップロード作業を削減できる。
  • 真正性が担保される。
認証機関

◆受付状況をネット上で確認することができる

受付状況の管理(「申請書類作成中」「受理待」「受理待:手数料等納付待」、「審査中」、「許可」「許可(経審結「受果)通知書発行済」等)、 エラー内容の通知、取下げが可能になるようです。

建設業許可等電子申請システムの概要(令和4年7月時点) P5

◆Pay-easyによる手数料の納付ができる

ネット上での手数料の納付が可能になりますが、申請先行政庁によって選択可能な納付方法が異なるようです。

大臣許可

  • Pay-easy納付番号によるATM、ネットバンキングで支払いを行う
  • 収入印紙、国税納付領収書を建設業許可等電子申請システムで出力した用紙に貼付して、郵送、窓口提出して行う

知事許可

  • 建設業許可等電子申請システムから金融機関のネットバンキングを利用してPay-easy支払いを行う
  • 都道府県証紙を郵送、窓口提出して行う、その他都道府県独自の方法

◆民間システムとの連携が可能

現状、既に民間の建設業の申請ソフトなどがありますが、データ連携することが可能になるとのことです。主にファイル(XMLファイル)での入出力が可能になるようです。

入出力が可能なので、民間のシステム→電子申請システム、電子申請システム→民間のシステムの両方のデータやりとりが可能になります。

ちなみに、弊社のクラウドサービス(許認可一括クラウド管理「マルット」)でも建設業の申請、電子申請システムとの連携が可能になる予定です。

また、電子申請システムに取り込んだデータは書式として出力もできるようなので、今まで通り紙で内容を確認をしたい人にも安心です。(建設業許可等電子申請システム外部インターフェイスに関する照会にて確認済み)

◆GビズID上で行政書士への委任も可能

gBizIDプライムのアカウントが必要にはなりますが、行政書士へ依頼している方などは、GビズIDの「委任機能」を用いて代理申請ができるとのことです。

建設業許可等電子申請システムの概要(令和4年7月時点) P15~P20

建設業許可等電子申請システムの使いやすさは?

◆パソコンへのインストールなど対応は必要?

動作環境について具体的なものはありませんので推測ですが、現状の他の官公庁のシステムを見るとブラウザから操作可能になると思われますのでインストールは不要になるのではないでしょうか。

◆GビズIDを取得する必要がある

ここが少々つまずきそうなのですが、GビズIDというものが必須になります。GビズIDとは、1つのアカウントで複数の行政サービスにアクセスできる認証システムです。

また、アカウントの取得には、申請後2~3週間必要とのことで注意しましょう。

GビズIDには次の3種類のアカウントがあります。

①gBizIDエントリー

オンラインで即日作成可能なアカウント。メールアドレスだけですぐになれます。

②gBizIDプライム

印鑑証明書(個人事業主は印鑑登録証明書)と登録印鑑で押印した申請書を運用センターに郵送し、審査(原則2週間以内)ののち作成される、法人代表者もしくは個人事業主のアカウントです。最も権限の高いアカウントです。

③gBizIDメンバー

組織の従業員用のアカウントとして、gBizIDプライムの利用者が自身のマイページで作成するアカウント。gBizIDプライムが許可したサービスのみ利用できる。gBizIDプライムにぶらさがったアカウントです。

以上のうち、gBizIDプライム/メンバーのみ電子申請の利用が可能となるようです。なので、事前に印鑑証明書や申請書を用意して審査を受けるが必要があるので、使用するにはややハードルが出てきます。重要な情報をやり取りするのでここはしょうがない所でしょうね。

建設業許可等電子申請システムの心配なところは?

◆ヘルプデスクの対応

ヘルプデスクの業務内容・対応時間等は以下を想定しているようです。

  • 業務内容 : 問い合わせの受付、対応記録の作成
  • 応対時間 : 平日(土曜日、日曜日、祝日、年末年始を除く)9時~17時
  • 受付方法 : 電話、メール • 想定件数 : 2,000件/月
  • 体制 : 5名程度(管理者、予備要員含む)

第2回建設業許可・経営事項審査等の申請手続の電子化に向けた実務者会議(2021/3/3)配布資料の「資料8:ヘルプデスク」

同じ建設業の建設キャリアアップシステムではかなりヘルプデスクがつながらないなどありますが、申請数などを比べるとまだ建設業許可申請等のほうが少ないので大丈夫ですかね。

◆GビズIDの申請が必要、アカウントの取得には、申請後2~3週間必要な点

GビズIDの申請にハードルがあり、さらにアカウントの取得には、申請後2~3週間必要とのことです。

いざ利用しようとした際に2~3週間必要となると結構心が折れそうですね。

◆ITリテラシーが低い人への対応

一応従前通り紙媒体による申請も受付するこのことです。その他ヘルプデスクが大活躍ですかね。

◆システムの遅延などについて

建設業者・宅建業者等企業情報検索システムが最近かなり重くてほぼ検索できない、などありますが(何とかしてほしい)、サーバーの負荷対応は大丈夫なのでしょうか。
ただ、最近デジタル庁が「ガバメントクラウド」の対象を「Amazon Web Services」「Google Cloud Platform」「Microsoft Azure」「Oracle Cloud Infrastructure」の4つのクラウドサービスに決定したので負荷対応は柔軟にやってくれるのかな、とは思っています(期待しています)。

◆セキュリティについて

これはもう利便性とのバランスである程度は覚悟するしないと思いますが、情報漏れは確かに最近多いです。出来る限りの対策はやって頂けると思います(期待しています)。

まとめ

以上、建設業許可・経営事項審査電子申請システムについて現在わかっているところを出来る限りわかりやすく取り上げてみたつもりです。また最新の情報などありましたら追記してご紹介したいと思います。

その他の詳細情報や新しい情報は国土交通省の関連ページをチェックしてみてください。

許認可一括クラウド管理「マルット」は2023年1月からの建設業許可等電子申請システムに対応します。

宅建業をお持ちの方はこちらから